猫ヘルペスウイルスによる角膜黒色壊死症の治療経過の記録

2022年9月28日

猫ヘルペス治療の記録

猫ヘルペスウイルス感染症とは、猫ヘルペスウイルス(FeHV-1)によって引き起こされる感染症の総称だそうです。
典型的な症状として鼻炎と結膜炎を主徴とする上部気道炎であるらしく、今回スズの場合は左目に症状が出てしまいました。

このブログでは猫ヘルペスによる角膜黒色壊死症の発症や治療経過について記録しておりますので、何かのお役に立てれば幸いです。

 

猫ヘルペスの初期症状

猫の角膜黒色壊死症は、急にそのような症状が現れるのではなく、段階をおって最終的にたどりつく症状です。
ここからの記事では、どのような初期症状があってどういった経緯だったのかを詳しく記録しております。

最初の動物病院での診察

【2022年4月14日】

スズの左目の異変に気付いたのは4月上旬頃でした。

なんとなくショボショボしておりクッキリと目を開ける事ができないような状態でした。
これまでも何度かそんなことがあり、またココと喧嘩でもして目に猫キックでもされたのかなと安易に考えていたのです。

ところが数日経っても良くなるどころか、徐々に酷くなってついに左目を開ける事すらできなくなったのです。

これはいつもと違うなと感じ、近くの動物病院へ連れて行きました。
この動物病院はおじいちゃん先生なので、とりあえず傷なのか病気なのかの診断と目薬を貰えればと思い連れて行った感じです。
そしてこの病院での診断結果は、

  • 角膜が傷ついて少し剥がれており、炎症がおきている
  • 怪我というより病気の可能性が高い

とのことで、結膜炎の目薬を処方してもらいました。
また、当院ではこれ以上の治療ができないから、1週間様子を見て改善しない場合は大きい病院へ行くようにと言われました。

この時は「目の病気なの?」と少し不安を感じながら、点眼治療をしていたのですが、10日経っても改善している様子がないため、違う病院へ連れていく事にしたのです。

 

2件目の動物病院での診察

【2022年4月25日】

最初の動物病院では、これ以上の治療はできないとのことでしたので、自宅から20キロほど離れた中規模の動物病院へ連れて行きました。

こちらでの診断結果は、

  • 炎症がある(結膜炎)
  • 角膜に傷がある(少し剥がれている)
  • 原因は不明
  • 最初の病院で処方された結膜炎用の目薬を引き続き使用し、追加でヒアレインを処方された

とにかく現在の症状としては、角膜に傷があって、その傷から少し剥がれかかっていて全体的に炎症が起きている・・・という状態だそうです。
でもこれの原因は不明とのこと。。。

とにかく目薬の治療が続くことになりました。

そして約1週間ごとに通院して目の状態を診察してもらっていたのですが、5月中旬頃になると目の充血も無くなってパッチリと開けるようになったのです。

ところが・・・

よく見てみると、目の真ん中辺りが黒ずんでいる???ような感じになっています。

この時の診断結果は、

  • 目の細菌を調べたらヘルペス菌があった
  • 角膜の黒い部分は「角膜黒色壊死症(かくまくこくしょくえししょう)」で間違いない
  • 今後はヘルペス用目薬に切り替える

と言う訳で、この時に初めて「猫ヘルペス」が原因だったということが判明したのでした。

ただ、この病院での症例が無いらしく、黒くなっている部分が今後どうなるのかが曖昧のままでしたが、当面の間ヘルペス用目薬(IDU)で治療していくということでした。

それから目薬2種類(IDUとヒアレイン)を毎日5回位点眼する日が続きました。

それから2ケ月間、毎日5回ほど点眼を続けていましたが、黒くなった部分は一向に変わりません。
大きくなっている様子もないのですが、小さくも薄くもなっていません。

炎症がおきている時は目薬を嫌がっていたのでかなり痛くてしみていたと思いますが、この頃はまったく動じなくなっていたので目の痛みは無くなっていたのでしょう。
ですが角膜の中央に黒い部分があるので、左目の視界に影響があるだろうしストレスにもなっていると思います。

そしてこの黒い部分がいつどうなっていくのかも不明だったので、先生に相談したところ、動物眼科専門の病院を紹介してもらうことになったのです。
やはり専門の病院でちゃんと診てもらう方が安心できますからね。

 

3件目の動物眼科専門病院での診察

とは言っても、この動物眼科専門病院は高速道路を走り約1時間30分もかかります。
スズにとってこんな長時間もの移動は初めてなので不安を過りますが行くしかありませんでした。

【2022年8月23日】

車内にキャットフード、おやつ、水、トイレ、シート等、万全な用意をして出発しました。
案の定、スズは車内でずっと鳴いています・・・。

9時に自宅を出発して病院へ着いたのが10時30分。予約が11時だったので待合室で30分ほど待つとついに診察と検査が始まりました。

そして眼科専門病院の院長先生の検査結果の説明は、

猫ヘルペスとは

猫ヘルペスについて、とても解りやすく丁寧に説明してくれました。
(ヘルペスウイルスはストレスなどが原因で活性化する。完治しても再発する可能性が高い厄介なウイルス)

角膜黒色壊死症とは

次に角膜黒色壊死症について詳しく説明してくれました。
大画面モニターにスズの眼球の写真を映し出し、現在の状態で壊死している大きさや深さなどを説明してもらいました。

治療法1、外科手術による除去

全身麻酔で角膜にある壊死している部分(黒色)をメスで剥がす手術。
(日帰りで可能。費用は約15万円)

治療法2、内科的治療

飲み薬(ファムビル)と目薬での治療。
(飲み薬でウイルスの増幅や複製を防ぎ、目薬で壊死した部分を自力で剥がれるのを期待)

院長先生の総合判断

  • スズの体内では、壊死している部分を分離させようと既に動いているようだ
  • とりあえず1ヶ月間は内科的治療をしてみたらどうか
  • 外科治療は希望であればいつでもすることができる

といった感じで、とても解りやすく丁寧に説明して頂けました。

そして私からはどうしてもこれだけは聞いておきたかったことがあります。
アメパパ「内科的治療を続けた場合、いつかは壊死した部分(黒色)は自然に剥がれるのですか?」
院長先生「はい。いつか必ず剥がれます。ただし3ヶ月なのか1年なのか、はたまた2年かかるのかは解りませんが、いつか必ず剥がれるでしょう」

凄い・・・さすが専門病院です。感動しました。
このような症例はいくつも診療しているらしく、ここまでキッパリと断言して頂くと本当にありがたいです。

院長先生「ただ、剥がれた後は角膜がその分薄くなってしまい修復するのに時間も要するが、その間に目を擦ったりして傷をつけてしまうとこれまで以上にやっかいになるので注意が必要です」

なるほど。剥がれた後も安心できないようです。

院長先生「剥がれそうになった時は、徐々に外側に浮いてくるので目視でも解るようになります。また、目に違和感が出るので仕草でも現れるようになります」

常に目の状態を確認しておかなければならないようですね。

 

処方されたお薬は

内服薬:ファミブル250mg
(ファムシクロビルを主成分とする抗ウイルス剤で、ヘルペスウイルスの複製を阻害する)

点眼薬:タリビット点眼0.3%
(殺菌作用のあるニューキノロン系抗生物質のオフロキサシンを主成分とする点眼液)

点眼薬:ヒアレイン点眼0.3%
(ヒアルロン酸ナトリウムを主成分とする点眼液で、涙液を眼表面に保持し角膜を保護する)

これらを30日分処方してもらいました。

 

内服薬(ファミブル)の価格

内服薬(ファミブル250mg)は1錠を半分にして1日朝晩と2回飲ませます。
つまり1日に1錠ということになりますが、1錠が約700円もするんです!

1ヶ月に約21,000円!

さて何か月で壊死した部分が剥がれ落ちるかなんですが、
実は先述したように、ヘルペスウイルスは再発する可能性が高いとのことで剥がれ落ちてもファミブルは飲み続けた方が良いとのことです。

この出費は大変ですね。。。

 

今後の治療方針

動物眼科専門病院で30日分のお薬を処方して頂き、当面はこの内科的治療となります。
お薬は紹介してもらったかかりつけの病院と連携して下さるので、今後はそちらの病院で処方してもらうこととなります。
(2022年9月24日にかかりつけの病院から2ヶ月目のファミブルを処方してもらっています)

ですので次に動物眼科専門病院へ行く時は、

  • 壊死した部分(黒色)が剥がれた時
  • 状態が変わった(異変)時
  • いつまでも変化がない時

という感じとなります。

 

動物眼科専門病院に行って思ったこと

今回初めて眼科専門病院に行ってみて感じたのは、動物病院の先生もやはり経験が重要だなと強く思いました。
2件目の病院の先生は、眼科専門医ではないので経験した症例は少ないだろうし、やはり治療していても何かはっきりしないことが度々ありました。
先生の見解が曖昧だとこちらも不安になりますよね。遠くても専門病院に行って本当に良かったと思いました。

また、専門病院と地元病院とで連携をしてくれているのにも驚きました。
診察内容や検査、お薬の処方等の情報を共有してもらっておりますので、通常の診察はかかりつけの病院、何かあったら専門病院に行けば良いのです。
動物医療も人間と同じようになっているんですね。

でも少しだけ後悔があります。
角膜黒色壊死症になる前の段階で「角膜びらん(角膜潰瘍)」になっていたはずだと眼科専門病院の院長先生が言っていました。
それがまさにスズの初期症状です。だからあの時に最初から眼科専門病院に行っていれば角膜黒色壊死症にならずに済んだかもしれません。
これは院長先生に聞いた訳ではありませんが、何となくそう思えますよね。。。

 

スズの角膜黒色壊死症 現在の状態

最後に現在(2022年9月)の眼の状態を写真で記録しておきます。

 

正面からの映像(瞳孔の表面にあり、重なって見えます)

角膜黒色壊死症

 

少し横を向いた映像(瞳孔から少しずれています)

角膜黒色壊死症

 

45度横から(完全にズレて見えます)

角膜黒色壊死症

 

真横からの映像(壊死した部分と瞳孔の距離が解ります)

角膜黒色壊死症

 

とにかくこれでは視界が悪いでしょう。
おそらく左目はほとんど見えていないのかもしれません。
人間だったらかなりストレスを感じてしまいますよね。

早く剥がれ落ちてほしいです。。。

今後の治療経過は進展がありしだいご報告します。

 

ではまた!

 

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